20250321_100万円のアートコレクション

展示作品の値段全部たし合わせたら、100万円以上するけれど。

2025年3月の頭に、名古屋へ行ってきました。目的は「へラルボニーアートコレクション」という展覧会です。

障害のあるアーティスト(以下、作家さん)の「異彩」の作品をさまざまな形で世に放ち、新しい文化を創造するあの会社、へラルボニー。ブログ3回連続ぐらいで言ってるし、SNSでも言い過ぎな気もしますが、へラルボニーはわたしの夢であり、希望なのです。へラルボニーと契約している作家さんの作品が一挙に鑑賞できるということで、メルマガを見た瞬間、名古屋への特急券を取りました。関西にいつ来てくれるかわからないからねえ、そりゃ。

開店と同時に入場した会場は、絵画だけにとどまらず、立体作品やらインスタレーションと、表現方法が自由自在。スタッフの方によると、これだけの数の作品が集まることは滅多にないとのことです。

作家さんの「正」でもあり「生」の、純粋なエネルギーがバシバシあふれていて、美しいを超えて、力強いのです。だって、言ってしまえば全身全霊。そんな全身全霊の絵を見た、最初の感想は「これ描いたら気持ちええやろうな〜」でした。特にそう感じたのが、油絵。油絵はやったことがないので、やりたくなりました。わたしの中に絵描き、表現者の魂がまだ燻っているようです。

展示会場の写真はお見せできませんが、一点もし買えるとしたら、関西万博のポスターにぜひ使ってほしいくらい大阪が迫ってくる「大阪」の絵か、やさしい心が伝わる淡い色使いのバラの絵かな。

この日は公開制作があり、二人の作家さんと、彼らが活動する、滋賀の「やまなみ工房」の方々が登場。制作するのは、長きにわたって粘土でお地蔵さんを作り続ける正己さんと、さまざまな色のボールペンを駆使し少しずつ色を塗り重ねて絵を制作する大路さん。

作品や普段の制作風景の解説も面白いんですが、とってもオシャレな施設長さんと作家さん方の掛け合いがとってもおもしろいんです。印象に残った好きなエピソードを。大路さんはお花の写真を見て絵を描いているのですが、わたしたちの想像をはるかに超える形がちょっとずつできていく。サボり始めたりしたところに施設長さんがそばに来て、冗談まじりに「今描いてるのこれ(写真)やで??」といじりつつも「100万円やな!」と二人で満面の笑みでハイタッチ!信頼関係が伺えるやりとりです。

曰く、「100万円」は大路さんにとって最高の褒め言葉なんだそうです。

ほんなら、このアートコレクションの展示も、100万円やわ!
普段、緊張感に包まれていそうな画廊が、ほっこりあたたかい雰囲気に包まれます。自閉症スペクトラム障害のあるわたしも、ここにいていいんや〜という安心感がありました。ギャラリー来たら、アウェイだったって、よくあることですから。

やまなみ工房所属の他の作家さんの作品の解説もしてくださいました。話を聞かないとわからない、作品の秘密がいっぱいです。このカラフルな作品はプリキュアだったとは!とか、この墨一色の渋い作品は寝転んで描いてるとか!作業着に刺繍をいっぱいして着れなくしちゃうとか!

美術の展示は、テーマや作品によってはエネルギーに圧倒されて精神的に疲れてしまうことがままありますが、今回の展示は爆発的なエネルギーに満ちているにもかかわらず、心地よい疲れ。自分の感性のアンテナを100%にして作品と向き合いました。来場者やスタッフ、作家さんとコミュニケーションをとってみようかなとも思ったのですが、正直余裕はなかった。でも、居心地は良かったです。

それはそうと、なんと別のフロアにあるショップでお買い物をすると、正己さんが過去に制作したお地蔵さんをお迎えできるというキャンペーンをやってました。ECサイトを穴が開くまで見つめていたカバンが販売されていて、これ!となって思い切って購入。別の作品が使われたカバンを颯爽と持っていた男性と、やっぱり、お地蔵さんが決め手となりました。そして、RPGみたいに、買ってすぐ、身につけるという…。お地蔵さんは、やまなみ工房で500円ぐらいで買えると後で聞きました。

近鉄特急を体験するお地蔵さん

施設長さんはこう話していました。「彼ら(作家さん)は誰も美術教育は受けていません。認められたいから作っているのではない、作りたいから作っている。作品がどうなろう(高値がつくなど)と、興味ないんです」

多分これが、純粋なエネルギーの秘訣であり、「異彩」が「異彩」たらしめるところなんだろうなあ。と、ああやっぱり異彩の作家さんには敵わないし、ちょっと前まで認められたい気持ちで絵を描いてた自分がちょっと恥ずかしいなあと。へラルボニーといえば、ファッションやクリエイティブ、課題提起、ブランド力が大きくなりつつあり、それがわたしの中でも先行していたんですが、純粋に契約作家さんの作品を楽しむことができてうれしかったなあ。

この後、アイドルさんと写真を撮ったり、大須のコンカフェでハプニングにあったり、食べ歩きし損ねたりするんですが、もうお腹いっぱいなので、またどこかでお話しできれば。

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